「インクレチン関連薬」


インクレチンとは?

インクレチンとは食後に腸管から分泌されるホルモンの総称です。インクレチンは食後の血糖値上昇に合わせてインスリンの分泌を促し、また膵臓α細胞から分泌される血糖値を上昇させるホルモンであるグルカゴンの分泌を抑えることにより、血糖値を下げる働きをします。
インクレチンには、「GIP」と「GLP-1」があります。GLP-1は膵臓以外にも働き、胃に作用すると胃からの食物排出のスピードを抑えます。また中枢神経にも働いて食欲を抑制する作用もあるとされてます


参考画像「MSD社ホームページ」より


DPP-4阻害薬

インクレチンのひとつGLP-1は「DPP-4(ジペプジルペプチターゼ4)」という体内から出る酵素によって分解され活性を失います。このDPP-4の作用を阻害しGLP-1の効果を持続させる薬剤がDPP-4阻害薬です


シダグリプチン:商品名
ジャヌビア(MSD株式会社)、グラクティヴ(小野薬品工業)、
ビルダグリプチン:商品名
エクア(ノバルティスファーマ)、
アログリプチン:商品名
ネシーナ(武田薬品工業株式会社)、
リナグリプチン:商品名
トラゼンタ(日本イーライリリー&日本ベーリンガーインゲルハイム)
テネリグリプチン:商品名
テネリア(田辺三菱製薬&第一三共)
アナグリプチン:商品名
スイニー(興和創薬&三和化学研究所)
サキサグリプチン:商品名
オングリザ(協和発酵キリン)


1日1回(もしくは2回)の服用でよく、他の糖尿病薬とも併用できます。
2型糖尿病の患者さんに効果がありますが、効き方に個人差があるように思えます。
当院での使用経験ではDPP4阻害薬を服用していただいた患者さんを100%とすると、20%に著効 60%に効果あり 10%は効果なし 10%は判断不能 でした単独投与なら低血糖の心配もなく、服用も簡単であることより日本での使用数もかなり増えており、現在の日本における糖尿病治療薬の中心になっています

DLP-1作動薬(インクレチン注射)

DPP-4阻害薬は体内に存在するインクレチンの分解を抑える薬ですが、もう一つのインクレチン関連薬は、GLP-1の受容体に直接作用して、またDPP-4阻害薬により分解されにくくしたGLP-1受容体作動薬という注射薬です。

DPP-4阻害薬よりも強力なインスリン分泌作用があり、また食欲抑制作用により体重を下げる効果もあり、肥満型の2型糖尿病の患者さんに有効なお薬です。

2014年1月現在で発売されているGLP-1アナログは

<1日1回注射タイプ>
リキシセナチド:商品名リキスミア注(サノフィ)
リラグルチド:商品名
ビクトーザ注(ノボノルディスクファーマ)
エクセナチド:商品名
バイエッタ注(日本イーライリリー)

<週1回注射タイプ>
エキセナチド:商品名
ビデュリオン注(アストラゼネカ、ブリストルマイヤーズ)週1回注射製剤
デュラグルチド:商品名
トルリシティ注アテオス(日本イーライリリー、大日本住友製薬)


注射の方法はインスリンと同じで1日1回(〜2回)の注射 あるいは週1回の皮下注射で効果を発揮します
インスリンと違い低血糖の危険性が極めて低く、注射の量も固定量です


参考資料「糖尿病ネットワーク」より