HbA1cの国際標準化について

従来のHbA1c(JDS値)

HbA1c値は、さかのぼって約1〜2か月間の平均的な血糖値を反映する検査値で、糖尿病の診断や治療がうまくいっているかなどに用いられています。  しかし日本で現在使用されているJDS値は日本独自のもので、国際標準のNGSP値よりも表記上約0.4%低い値になります。日本糖尿病学会は国内の研究成果に基づいて糖尿病合併症の予防などの観点からHbA1cの治療目標を6.5%未満としてきました。

JDS値の問題点

JDS値を使用しているのは世界で日本だけで、0.4%の差が補正されないまま欧米の研究論文が日本に紹介されたり、誤って判断される危険性がありました。今や糖尿病の治療法や予防法などの研究は世界規模で行われており、日本糖尿病学会、日本糖尿病協会、日本糖尿病対策推進会議は、HbA1c値の表記を国際標準のNGSP値に切り替えることを発表しました。同学会ではJDS値からNGSP値に移行する時期について慎重に協議を重ね2012年4月から実施することを決定しました。

2012年4月からの検査結果表記
こうして4月からHbA1cは国際標準値に移行したのですが、日常診療での混乱を減らしたり、過去のデータとの比較を行いやすくするため、当面は従来のJDS値も併記されます。検査結果のHbA1cが2種類表記されているはずです。国際標準のNGSP値は従来のJDS値より0.4%高い表示だと思いますが、糖尿病の診断基準やコントロール目標・判定基準などもいままでの値に0.4%足したものになります。 つまりいままでは正常範囲は5.8%以下だったものが6.2%までは正常に、治療の目標値も今までは6.5%以下だったものも6.9%以下になります。



参考資料「糖尿病ネットワーク」より